神戸大学大学院医学研究科の戸田達史教授が、平成29年度の日本学士院賞を受賞することが決まりました。

戸田達史 教授

日本学士院授賞制度は、明治43年に創設され、学術上特にすぐれた論文、著書その他の研究業績に対して授賞を行っています。授賞式は明治44年より毎年挙行され、平成29年度で第107回を迎えました。昭和24年以降の授賞式には天皇陛下の行幸を、平成2年からは天皇皇后両陛下の行幸啓を仰いで6月に東京・上野の日本学士院において挙行されます。

受賞対象研究は、「福山型筋ジストロフィーを含めた糖鎖合成異常症の系統的な解明と新しい糖鎖の発見 (共同研究)」です。

受賞理由(日本学士院webサイトより)

戸田達史氏・遠藤玉夫氏は共同して、福山型筋ジストロフィーを含めた糖鎖合成異常症の系統的な解明と新しい糖鎖の発見をしました。日本に特異的に多く、筋疾患でありながら中枢系の異常を伴う福山型の原因遺伝子フクチンを同定し、遺伝子診断・病型分類を可能にしました。さらにフクチン遺伝子に入り込んだ別の「動く遺伝子」による遺伝子の切り取り(スプライシング)異常が起こり病態が発生することを解明しました。

また新しいO-マンノース型糖鎖(O-Man型糖鎖)を発見し、「糖鎖と筋ジストロフィー」の関係を明らかにしました。さらにこれまで人体で報告のないリビトールリン酸のタンデム構造を有するO-Man型糖鎖の形成不全が、福山型および肢帯型筋ジストロフィーなど類縁疾患の本態であることを明らかにしました。

新しい糖鎖の発見という基礎レベルから糖鎖合成異常症の謎を解き明かし糖鎖の人体生理の意義を示した本研究は世界で高く評価されており、不治の難病である筋ジストロフィーに対する根本的な治療法開発に道を開くものです。

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