神戸大学人間発達環境学研究科の榎本平教授らの研究グループは、株式会社IHI、ちとせ研究所と共同で「高速増殖型ボツリオコッカス」の1500平方メートル規模の野外大規模培養に成功しました。これにより、石油に代わる再生可能エネルギーの供給源となることや、バイオ燃料製造コストの低下が期待されます。

藻と藻から染みだしている油の様子

「高速増殖型ボツリオコッカス」は、バイオ燃料を大量に生産する増殖速度の速い淡水の藻類の一種。光合成によって大気中のCO2から炭化水素(重油)を生産する能力をもつボツリオコッカス株に独自の培養方法で改良を重ねて榎本教授らの研究グループが開発しました。

野外培養の風景

今回の野外大規模培養は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業」により2012年に開始。2013年にはIHI横浜事業所内での100平方メートル規模での屋外安定培養に成功したほか、ボツリオコッカス株の増殖性、浮上性の向上、藻体径の増大といった事業化での製造コスト削減が期待できる形質を集約した新株の獲得にも成功しました。このような成果を事業化につなげるため、野外大規模培養試験設備を鹿児島県鹿児島市七ツ島に設置、2015年度より運用を開始しました。今後は、培養試験と並行して将来の事業実施場所の選定をを進めるとともに、燃料製造コスト低減に向けたプロセス全体の改良を進める予定です。

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